今週のお題「最近おもしろかった本」
初めて今週のお題を書かせていただきます。
本好きなので嬉しいお題(*^_^*)
湊かなえさんの「母性」
という小説をご紹介させていただきます。
実は読んだのは数年前なんですが、来月映画公開されるということで嬉しくて読み返してみました。
これは母(ルミ子)と娘(清佳)の物語です。
湊かなえ作品でおなじみの「登場人物たちの想いのすれ違い、勘違い」で物語はすすみます。
母親も高校生の娘も、お互いを想い合っているのに上手くいかない。
読み手にはなんとももどかしい、本の中に入って「本当は違うよ」と教えてあげたくなる作品です。
この作品を読んだとき、私の子供はまだ赤ちゃんの頃でした。
当時はいつも二人きりで、私は「早く一人になりたい」ということばかり考えていました。
たまたま夫が休みの日に子供を預け、一人でカフェに行きこの本を読みました。
数時間でしたがやっと一人になれたことが本当に嬉しく、ずっとこのままでいたい、帰りの時間になって欲しくないと思うほどでした。
それほどまでに当時は育児が大変で、子供と二人きりになることが怖かったんです。
一人になりたいと思う自分は母親失格、やはり向いていなかったのかも・・・
いつもそんなことを考えていました。
しかし、この「母性」という小説を読み終えた後、私は子供に早く会いたい、子供って愛おしいと強く思えたことを今でも覚えています。
とにかく娘の清佳がかわいくて健気です。
同居している意地悪な祖母たちから母親のルミ子を庇ってあげるんです。
正直、ルミ子は良い母親ではないです。
お嬢様育ちで世間知らず、そして自分の母親にとって理想の娘でありたいと考えています。
結婚も出産も母親を喜ばせたいという想いからからしたのです。
そして清佳を産んでからも、清佳以上に自分の母親を愛しているという異常さがありました。
ルミ子と清佳はあることをきっかけにして溝が出来てしまいます。
そしてそれ以来、ルミ子は清佳に触れなくなります。
しかしまだ小学生の清佳は「愛されたい」と健気にルミ子に尽くします。
ルミ子のために祖母や叔母と口喧嘩をしますが、ルミ子は喜び感謝するどころか、清佳を余計に責めます。
ルミ子の回想からは「娘を愛している。娘のため。」という想いが。
清佳の回想からは「母親から愛されていない。殺されかけた。」という想いが。
母と娘、それぞれの回想からなる作品です。
親から子への愛は無償と言いますが、この作品を読むと逆に感じます。
子から親への愛は無償。
どんな酷い親でも子供は愛してくれるんです。
愛されるために親に尽くし、酷いことを言われても暴力を振るわれたとしても、子供は親からの愛を求めているのかもしれません。
なんとも健気で愛おしい存在です。
映画は11月23日公開予定です。
母親(ルミ子)役は戸田恵梨香さん。
娘(清佳)役は永野芽郁さんです。
おそらく小説と映画は結末が少し違うのかもしれませんが、戸田恵梨香さんも永野芽郁さんもお芝居上手ですし、意地悪な義母役が高畑淳子さんなので絶対イライラさせてくれそうで面白そうです!
ここまで読んでいただきましてありがとうございました(^^)